かつてお祖父さまが建てた貸家「武富荘」から始まった武田家の不動産賃貸業。今回紹介する「ルネス武富II号館」は武田家にとっては格別の想いが込められた一棟。施主は忠さんの長男・学さん四六歳。「武富」の名を受け継ぐ、家族の物語をつづる。
実は、学さんは「秦建設」の社員。20歳で入社し、以来26年間、マンション建築一筋に汗を流してきた。「建設の『け』の字も知らなかった私を秦社長は迎え入 れ、育ててくれました」と当時を振り返る学さん。そんな学さんも武田家の次期当主として長年悩み続けていたことがあった。それこそが老朽化した6軒の借家。築50年を越えて、傷みが目立つようになった借家を見るにつけ、「このまま何もしなければ、いつかわが家は行き詰まる」。そんな不安がよぎっていたそうだ。「これから、どうすべきか」。学さんは考え続けていた。5年、10年、それこそ人知れず。いっぽう、毎日の仕事では、立派にそびえ立っていく「秦建設」の施主の真新しいマンションを見上げる日々。どの施主もオーナーとして誇らしげな笑顔、そんな姿を見るにつけ、学さんの心にも羨望の気持ちと同時に、マンション新築への想いが芽生えてきたそうだ。「それは長年、家業である不動産賃貸業を担ってきた祖父、父の背中を見て育った学さんなりの覚悟・決意の発露だったのかもしれませんね」と秦社長は察する。そしてついにマンション新築へ舵を切った学さん。「借家の取り壊し、立ち退きに際し、古くから入居されていた方々は『武田さんがそうするなら、よくなるなら』とみな揃って快諾してくれました」と学さん。
そうした心優しき入居者、理解ある銀行の担当者、そして忘れてはならないのが妻・広美さんの存在だ。長年、逡巡していたマンション新築。学さんは、決して弱音を言わないが、その心境を密かに察していた広美さん。「II号館を建てると主人から聞かされた時は、私も『やるしかない』と覚悟を決めました」と気丈に笑うが、「学さんに寄り添い、武田家を守り続けてきた広美さんには言葉にならない感慨もおありだったはず」と秦社長は気づかう。
最後に、「武田家が伝承しているのはマンションそのものだけではなく、『入居者を慈しむ心』なんです。そうした尊い心は、祖父や父の背中を見て受け継がれるものです。忠さんから学さんへ。学さんから子どもたちへ、『ルネス武富II号館』を通して『武田家の心』が受け継がれていくことでしょう」と秦社長は締めくくった。
学さんの背中を押してくれる周りの有難い人たち。誰か一人欠けても「ルネス武富II号館」は完成しなかった。『感謝』と『慈しむ心』 はさらに継承されていく。
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