どこまでも澄み切った夏の空。北に半田山、西に運動公園、南にビル群・・・まさに岡山市内をぐるりと一望するマンションの屋上に集うのは、オーナーの大熊家のみなさん。永きにわたって家を守り続けてきた母・昌子さんとともに大熊家の歩みを振り返る。
洋さんの決断は、
総責任者を秦信一郎副社長に。
「私がここへ嫁いだのが昭和22年。その頃、この辺りは見渡す限り、田んほと畑ばかりでした。それが今では・・・」と当時を懐かしむ昌子さん。
その姿を愛おしそうに見守る洋さん、啓子さんご夫妻。三人が集うこの場所は今回、大熊家にとって二棟目となる賃貸マンション『Side-I』。
建設当初、洋さんは悩んだ。ほかの物件との競争力は何か?入居者のニーズを満たす設備は?20年後の変化に対応できる仕掛けは?そして何よりも重要視したのは、ライバルが賃貸物件ではなく、分譲賃貸物件という点。
そこで洋さんは意外な動きを見せた。つまり、通常ならこのプロジェクトの総責任者として秦社長が指揮を執るであろうシナリオをあえて覆し、白羽の矢を立てたのは、秦信一郎副社長。その意図を尋ねると・・・
「秦社長にお願いすると秦社長の建物になってしまうからです(笑)」と冗談まじりに答えたあと、こう続けた。
「仮に30年後、この『Side-I』を全面リフォームする時、その現場に立っているのは、私でも秦社長でもない。『Side-I』が次世代を輝かせるために存在するなら、次世代の人に設計内容もコンセプトも熟知してほしかったんです」とその真意を語る。
建設を決意してからは、大熊夫妻、信一郎副社長、和多監督、西村設計士を中心に、週一回のペースで1年近く打合せを重ねた。そのこだわりと工夫、入居者ファーストを実現した品質は、まさに若き力の結晶といえる。
守り続けた、わが家の土地を
分割せず、次の世代に渡したい。
洋さんが広々とした敷地を眺めながらこうつぶやいた。
「実は一棟目の『Side-S』を建てる時、秦社長が『この敷地を外壁で囲いましょう。そうすればこの土地は、地域の財産になります』と言われたんです。その助言は、くしくも亡き父や母が言い続けていた『わが家の土地を分割しないで残してほしい』という願いを後々、かなえてくれるものでした」。
洋さんの言葉に領きながら、昌子さんは、何度も感謝の言葉を繰り返した。
「我慢に我慢を重ねて亡き主人とこの地を守ってきました。このマンションを見た時、涙が出るほど嬉しかったです。これ以上の喜びがあるでしょうか」。
常々、「一生のうちで何がよかったかというと、秦さんに出会えたこと」と繰り返す昌子さん。すべての人々の思いが詰まった『Side-I』の魅力を紹介したい。
若き力がひとつに集結。
細部にまで作り手の魂が宿る。
秦建設が礎とする「親から子へ、子から孫へ」の思い。今回は大熊家だけでなく、『Side-I』に携わった多くの 職人が親の背中を見て一人前になった技術者だったという事実。彼らは秦社長が長年にわたって育て上げてきた秦軍団の宝。彼らの思いを伝えたい。
タイル屋さん「敷地の入口から始まる車歩分離のプロムナード。建物外壁やエントランスホールにも賛沢にタイルを使用しました。また各部屋の玄関アルコープ、壁面にもタイルを貼りました」。
電気屋さん「シーリングファンの付いた賃貸って珍しいと思います。さらには細かいライティング分岐で分譲でもなかなか見ない設備になっています。入居者のことを考えてコンセントの高さも工夫しています。大変でしたが(笑)」。
西村設計士「キッチンはオリジナルです。従来の対面式と同じスペースですがコの字型にすることで、80センチ幅のシンクや幅60センチを越える作業スペースにゴミ箱収納スペースも確保しました」。
和多監督「大熊さまのこだわりや、設計士の意図を形にするため、施工するわれわれ現場スタッフもさまざまな部分で工夫しました。『Side-I』は、8階建てですが、通常の9階建てより高いので屋上の見晴らしは抜群。花火大会が愉しみですね」。
最後に信一郎副社長「外観からもわかるようにルームコートを作りました。雨、花粉、虫害にも安心で従来の室内物干しとは比べ物にならない独立したスペースです。セキュリティにも万全を期しました。敷地を囲む外壁は2.5メートルを確保。防犯カメラやダブルロックなど、まさに入居者ファーストです」。
次代を担う若き力が結晶した『Side-I』。いつもは厳しい秦社長も彼らのがんばりに目を細める。親から子へ、子から孫へ。ここに結実。
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