「かつてここに築100年を越える武田家の旧邸が建っていました。今、『ルネス武富』が建っているあたりは鬱蒼として雑木林でイタチはもちろんタヌキもいたんですよ」と語る当主の武田 忠さん。その言葉に隣で静かに頷く伴侶の洋子さん。旧邸を取り壊し、雑木林を切り開き、武田家の家運をかけた新邸建設と不動産賃貸事業への決断。その心持ちを2人にうかがった。
「もともと私の父は農業をしていましたが、『これからの時代はそれだけでは駄目』と、この地区で初めて貸家(武富荘)を建てるなど、ある意味、先見の明のある人でした。ところが自宅は古くなるいっぽうで、このままではいけないと思いつつも、いつしか月日だけが経過していたところ、背中を押してくださったのが秦社長です」と忠さん。
「この機を生かして一気にやる」と決めた忠さんだったが、いかんせん築100年の旧邸の取り壊し、建て替え中の転居先の確保、雑木林の造成、多大な手間と手続きをともなう境界確定、懸案の銀行融資など、クリアすべき問題はまさに山積。自宅の建て替えと貸家の建設を同時に行なうのは容易ではなかった。
「いろいろ問題はありましたが、秦社長の『このタイミングにやるべき』という言葉に励まされて、ひとつひとつ取り組みました。建て替え中はなんと秦建設さんの社宅に住まわせていただいたんです。約9ヶ月くらいだったでしょうか。ところがそこが誠に居心地がいい(笑)。手入れが行き届いていてオール電化でお風呂も家事も快適。そこに住んでみたら秦建設さんの住居に対する考え方がよくわかりました」と忠さん。
「ルネス武富」は岡山ではめずらしい木造二階建てロフト付きメゾネットタイプの賃家。北館と南館に分かれ、北館の隣に武田家の新しい自宅が並んでいる。「『ルネス武富』のルネスはルネサンスの意味。かつて父がこの地区で初めて建てた貸家『武富荘』が新しく生まれ変わったんです。父が愛したあの『武富荘』が蘇った。そう思うとなおさらこの名前が気に入って、建物にも愛着を覚えます。きっと父も喜んでくれているはずです」。
「家族が家族を誇れるすばらしさ。そのステージをこしらえるのが秦建設の仕事です。ご先祖や両親を自然に尊敬できる家族の在り方こそが繁栄への道なんです」と秦社長は言う。
穏やかな早春の陽射しが差し込むリビングに集う武田家の人々。「以前はトイレに行くにもお風呂に行くにも一度靴を履いて土間を通って行っていました。その頃に比べたらここはもう天国。暖かくて静かで本当に幸せです」と何度も喜びの言葉を繰り返す洋子さん。
親から子へ、子から孫へ。武田家の確かな歩みがここから始まった。2人の穏やかな笑顔が最後まで印象的だった。
撮影時、偶然新しい入居者が引っ越しの真っ最中。すかさず秦社長がその方に「ルネス武富」の感想を尋ねると「こういう物件を探していたんです。なかったんですよ、今までは。ありがたいです」との返事。その言葉に満足そうに頷きながら、にっこりと顔を見合わす忠さんと秦社長。
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