「お2人でお写真を…」の声に、照れながらも仲睦まじく寄り添う久山優(くやままさる)さん(68歳)と妻の伸子さん(67歳)。定年後の今も六町もの田んぼで米作りに励む毎日。これまで重ねて来た歩み、息子さんのこと、米作りのこと…。2人の話は久山家の未来へと続いた。
久山家と秦社長の出会いは約30年前。秦建設が創業間もない頃のこと。とあるきっかけで母屋の改修を秦建設に依頼した優さん。当時の若かりし秦社長の仕事ぶりを楽しそうにこう語る。
「座敷に座り込んで、床の間の壁の塗り具合を見て、『これじゃいかん。やり直し!』って職人に言うんです。もう全部出来上がっているんですよ。一本気な人だなと思いました」。加えて「秦さんが現場に来ると職人さんたちは全員、直立不動。現場の空気は本当に素晴らしかった」と懐かしむ。
その時の仕事ぶりに惚れ込んだ優さんは、母屋の改修(2000年)に続き、今回の長屋改修(2013年12月着工、2014年11月完成)も秦建設に一任することにした。
「母屋は1960年築。新しく建替えたほうがいいと言われたんですが、親父が苦労して建てた家。やはり愛着があります。この家を息子、そして孫につなぐのが私の役目でもありました。いいスタッフと職人さんを束ねる秦社長なら昔の面影を残しながら上手くやってくれるはず。そう思ってすべてお任せしました」とお2人。
久山さま夫婦のプランでは…母屋は息子さん一家に譲り、お2人は改修工事をした長屋に移り住むという二世帯構想。今回お2人がそう決心したきっかけは、離れて暮らす息子さんへのある思いがあったからだという。その話を秦社長は感慨深くこう語る。
「息子さんが久山さまに『親父、そのうち必ず家に帰るから…』とおっしゃったそうです。その話を私にされた時の久山さまは本当に嬉しそうでした。愛する息子が嫁と孫を連れて『わが家』へ帰って来る。ご当主としてこの上ない思いだったことでしょう」。
その言葉に優さんは…「息子はおじいちゃん、おばあちゃんっ子でよく田んぼに連れて行ってもらっていました。息子いわく『自分の子どもにも米作りの尊さをきちんと伝えたい』。そんな思いがあったそうです。久山家の原点は農業、息子の思いは農家としてのDNAなのかもしれません」。
祖父の背中、親の背中を見て「働く心」が伝わっていく。親から子へ、子から孫へ。久山家の連綿とした営みのなかに「米作り」と「わが家」がある。
今もご夫婦で米作りに励む優さんと伸子さん。米を保管する倉庫にはきちんとスリッパに履き替えて入るそうだ。「私たちが作ったお米は人の口に入るものですからいつも清潔にしています」。米ひと粒への愛情と誇り。久山家の心構えを垣間見た気がした。
改修後の今は息子さん一家の帰宅を心待ちにするお二人。長屋での二人だけの暮らしもささやかながら満ち足りた時間。久山家の未来への物語は今始まったばかりだ」。
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