今回ご登場いただいた施主さまは、とてもシャイ。「私の話は誌面のほんのちょっとでいいですからそのぶん、一階に入っていただいているテナントさんをしっかり宣伝してあげてください」と人懐っこい笑顔で語る。宗 章久さま、63歳。この春完成した賃貸マンション『ディアリオ』は、ゆったりとした敷地に立つ五階建て。周りと調和したその美しいシルエットには、宗さまらしい地元への思い入れがあった。
「当初、秦社長には8階建てを奨められたんです。でも私は『五階建てにしてください』とお願いしました。そのほかのことは99%お任せしましたが、それだけは初心を貫きました」と笑う宗さま。その理由はこうだ。宗家が代々根付き、宗さまご自身も生まれ育ったこの地。日当たり含め周囲の方々に迷惑をかけるわけにはいかない。そんな思いから五階建てなのだ。1階はテナント、2階から5階はオール電化仕様の快適な貸室が24部屋。真新しい『ディアリオ』を見上げながら「周囲によく馴染んでいるでしょう。ほどほどがいいんです。五階でよかった」と満足げな宗さま。
宗さまのそうした心遣いが息づく『ディアリオ』の一階には、3つのテナントが入居している。そのうちのひとつが『すぎやまデンタルクリニック』。若き歯科医が奥さまとともに立ち上げたまだ開業まもない歯科医院。オーナーの杉山先生は言う。
「実は私が以前、勤務医として働いていた医院の院長と秦社長がお知り合いだったんです。その縁で秦社長から『開業するならディアリオがいい!』と(笑)とはいえ当時はまだ独立への不安が大きい頃で…。いろいろ考えていたらある日、秦社長に『杉山さんは、あなたに何千万円も融資する側(銀行)のことを考えたことがありますか。しっかり仁術を尽くして、ちゃんと利益を出す覚悟はありますか?』と問われたんです。忌憚のないその言葉を聞いて私も覚悟を決めて開業に踏み切りました」。
そんな杉山先生の話をうれしそうに聞く宗さま。「治療にはまだ行っていませんが、ご近所にはしっかり宣伝しています」。
今こそ笑いながら語る宗さまだが、もともとマンション経営を始めたきっかけは9年前、お父さまのご逝去に伴う相続で体験した数々の苦労から。「蓄えがいっさいなくなりました(笑)。でも建てるなら質のいいモノを作らなくてはならない。それだけは譲れない。だからこそ『秦物件』だったんです」。「8年前に完成した『アリビオ』に始まり、この『ディアリオ』から宗家の新しい歩みがあらためて始まるんです。お父さまから宗さまへ、宗さまから息子さまへ。若くてやる気のあるテナントさまにも恵まれた。うれしいことです」と目を細める秦社長。その表情は、いつも以上に晴れやかなものだった。
取材の終わりに、杉山先生から開業後の順調な仕事ぶりを耳にした宗さまと秦社長。二人がにっこりと笑うその姿は、まるで慈愛に満ちた父親のよう。厳しさのなかにこそ、本物の優しさがある。それも秦品質の真髄。
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