武田惣次郎さまと奥さまの利恵さまの朝は早い。ここは自宅近くにある畑。その名も「楽耕園」。楽しく耕す。生真面目なお2人にしては、珍しく洒落っ気でそう名付けた、世界でひとつの畑。撮影時は、ちょうど梅雨明け間近の頃。すみずみまで手入れされた園内では、夏野菜が実りの時期を迎えていた。みずみずしく育ったトマトにキュウリ、ナスを手際よく収穫するお2人。その手つきはまさに働き者のそれ。朝も早くから汗して働く惣次郎さまと利恵さまが今回の主人公だ。
昔から一生懸命働き、人に喜んでもらうことが生きがいだったご夫妻。そんな思いから始めたマンション経営だったが、当初は惣次郎さまの思いとは異なり、心残りなことが多かったという。それから30余年もの月日が流れ、親族のマンション新築の話が持ち上がった。惣次郎さまは、自分の苦い経験からその建築には反対だったが、工事は進み始めた。当初は眉唾で工事の推移を注視していたが、現場スタッフのひたむきな働きぶりを目の当たりにして、「これだ!」と宝物を見つけたような気持ちで、自分の生きてきた人生と作業員たちの仕事に励む姿勢とを重ね合わせ、とても大きな共感を覚えたという。やっと自分の夢を実現してくれる人が現れたと。そうとなるといても立ってもいられなくなった惣次郎さま。すぐさまお孫さまの自宅新築をその秦建設に依頼したという。その時、惣次郎さまが秦社長に発した言葉が後に語り草となった「わしも仲間に入れてくれ」だったそうだ。
秦建設との出会いから数年、惣次郎さまの長年の思いは叶い、「福富リングマンション」は無事、今年3月に竣工。建設中は「1日1日と建ち上がっていくマンションが気になって仕方なかった」という惣次郎さま。当初は懸命に働く作業員の姿を毎日でも見ていたいと自宅から自転車に乗って現場を訪れていたが、オーナーである自分が現場に立ち入ると、作業を止めてしまうとの配慮から自らの行動を自重。そこで建設現場にカメラを設置することで、惣次郎さまはご自宅で作業員の仕事ぶりをリアルタイムで見ることができるようになった。モニターに映し出される現場担当・山田監督の夜を日に継いでのひたむきな仕事ぶりに惣次郎さまはいたく感動した。その映像は惣次郎さまだけではなく、香川県高松市に住む山田監督のご家族にも届けられていた。電話もしてこない息子が工事所長として、毎日元気に現場を取り仕切る姿を見て、お母さまもずいぶん安心、同時にうれしかったそうだ。
取材時、マンションの玄関の床を息子の薫さま・和子さまご夫妻が一生懸命に磨き上げていた。とにかく武田家の方々は、惣次郎さまを筆頭によく働く。旺盛な勤労意欲は、近所でも評判だ。
最後に惣次郎さまが秦社長に向かってしみじみという。「もっと、もう5年早くあんたと会いたかった…」。それは、お世辞ではなく、当主としての心からの言葉だった。
新築一戸建て・マンション・商業建築などの設計・施工、リフォーム、マンション経営などのサービスに関するご質問、ご相談など、お気軽にお問い合わせください。