お父さんに暖かい住まいを
山部家は矢掛の古い家柄で、もとより風格のある古民家にお住まいでした。ご夫婦二人の住まいには十分な広さだったのですが、何しろ古いので、隙間風が入って冬は寒い。
「私は古い家で十分だけど、お父さんにはそろそろ暖かい家に住んでもらいたいと思って、思い切って建てたんです。お父さんは音楽が好きだから、日当たりのいい部屋をオーディオルームにして、ゆっくり暮らしてもらいたいの」と奥様の裕子さん。ただ、この広い敷地と隣に残った家を管理するのは「お父さんの役目」だそうで、お父さんは今までの何倍も忙しくなったのではないかと思われます。「運動をかねて、ぼちぼちやります」と、山部家のお父さんはおっとり。シャキシャキのお母さんといいコンビです。
本物の中にいると背筋が伸びる
「新築したときが一番きれいで、だんだん駄目になっていく家は嫌なんです。年を経るごとに品位が増して、美しく古びていく家がいい」と、ご夫妻の家に対する見識は明快なものでした。木材はムクの自然材、壁は昔ながらの漆喰、屋根は日本瓦。すべて自然素材を使えば、古びて味の出る家になります。
リビングから和室を見通せば、広縁の向こうに苔むした庭が望め、背筋がすくっと伸びるような美しい佇まいです。「本物」の中に身を置くと、心が洗われる思いがします。
「風の道」を考えて設計されたこの家は、表の庭、裏の庭、古い庭と、どんなにか気持ちよく風が抜けることでしょう。できるなら、百年経って風格のある家になったときを見てみたい、という気がしました。
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