昨今の住宅事情では、本格的な和風住宅になかなか出会えなくなりました。工費がかかるというだけでなく、ライフスタイルの変化もあるでしょう。そんな中、白壁の家は辺りの目を引きます。十河さんは「日本男児」という風格のあるお方で、日本家屋が実にお似合いです。
建てる過程も古式ゆかしく
家が伝統的な日本家屋なら、建てる過程も、きちんと伝統にのっとって行なうのが十河家のやり方です。
地鎮祭、棟上げ、竣工式、屋移りまで、一連の行事を滞りなくこなされました。ことに棟上げのときは、三俵の餅とお菓子をご用意し、ご近所の方や友人知人に集まっていただいて、盛大な餅撒きをされたそうです。「その用意に二週間かかりました。あとで三日寝込んだけど、ご近所の方と出会うと、家できた?また見せてね、と言ってくださるから、あぁ、大変だったけどいいご挨拶ができて良かったなと思います」と、奥様の玲子さんは爽やかな笑顔です。十河ご夫妻は、どちらも地元の出身ではないので、「よそ者が来た時のお披露目」なのだそうです。
芯から心が休まる家
昔ながらの漆喰としっかりとした木の造りは、心が芯から休まるようです。一日の疲れを抱えて帰って来ようとも、この家に入ったら、神経がすう〜と鎮まりそです。桧の香りはアロマセラピーだし、広縁のある二間続きの和室は庭とその向こうの田園風景を取り込んで広々と、かつ端正で、一服の清涼剤です。やはり私たちの心の奥には、このような日本家屋を希求するDNAがあるのではないでしょうか。この家を手掛けた棟梁の気概が、欅や桧の使い方に感じられます。隅々までびしっと収まって、隅々まで気持ちがいいのです。もっとも、いつもの棟梁らしく、ちょっとしたアイディアを玄関のはんこ入れや、愛犬レン君のハウスなどに発揮して、ご家族を喜ばせています。「今年、お父さんは年男でめでたいときに一世一代の家ができたし、これで心丈夫だわ」と奥様が言われれば、日本男児はワッハハと豪快に笑って、息の合ったご夫妻でした。
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