「2015年の正月まで、私は一部の熱心な駅伝ファン以外、誰も知らない無名の監督でした。現役時代は箱根駅伝やオリンピック等という華々しい経歴は皆無。そんな私がなぜ…」。自著『フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』の前書きにそう記した原晋監督(青山学院大学陸上競技部)。今回は3年連続となる秦建設セミナーでの講演。箱根駅伝2連覇という偉業を成し遂げた名将が三たび岡山の地へ。その熱い思いに触れた。
その日、セミナー会場は二連覇を遂げた名将の凱旋を心待ちにしていた人々で賑わった。誰もが「また来年も優勝してここに戻ってきます」と言い切った原監督の言葉を忘れてはいない。その日も開口一番…「もともと私は箱根駅伝の監督としては異色の経歴。最近はもっぱら『日本陸上界の異端児』と呼ばれているようですが私自身は『日本陸上界の尖端児』だと思っています」と屈託なく笑う。
その言葉どおり、箱根駅伝で二連覇を成し遂げた後も原監督の「攻めの姿勢」は留まることを知らない。箱根駅伝の改革、オリンピックへ向けての提言とアクション。その衰えぬモチベーション、原監督を動かす原動力は何なのか…。
「すべては『大義』。そして『熱意』が人を動かします。実はこの10年間わが国の陸上競技種目の6割近くが、日本記録が更新されていないんです。マラソンは14年前の記録、円盤投げに至っては、37年間記録が破られていません」。
その時ばかりは普段の快活な笑顔は消え、日本陸上界の現状を憂う原監督。たとえ風当たりが強くとも、陸上界をなんとかよい方向に導きたい。その私心なき大義こそが原監督を動かす力なのかもしれない。
「思えば秦社長も施主さんをなんとかしたいという大義があるからこそ、永きにわたって多くの施主さんに支持されるのだと思います。たとえ厳しい言葉でも、まともなことを言い続けると最終的に仲間は残るんです」と晴れやかな面持ちで語る原監督。
その言葉に秦社長は…「真っ当な大義があるからこそ学生たちや多くの支援者が原監督に付いて行くんです。スポーツもビジネスも成果を決するのは各人の情熱と勇気、胸に刻んだ覚悟ではないでしょうか」。
「部員たちは本当に努力しています。自己ベストを更新しようと毎日泥臭いことをしっかりやっています。ただそこまで努力しても、レース本番で結果が出ないことは多々あります。だからこそ最後は『なんとかなるさ』と楽観的であってほしい。明るく元気に努力して、最後は『なんとかなるさ』で楽観的に構える。人生で無駄なことは何もなく、身に着けてきたことはどこかで役に立つもの。たとえつまずいてもまた走り始めればいいんです」。
原監督の前向きな姿勢、考え方に来場者も深く頷く。思えば不動産賃貸業も建設業も、陸上競技も地道に日々を積み重ねる、それこそが成功を掴み取る唯一の方法という点でなんら変わりはない。最後の写真撮影では原監督と恒例のガッツポーズ。来年、4回目の再会を誓って、セミナーは終わった。
講演の途中、原監督が陸上部のプロモーションムービーを披露してくれた。その中に書かれた字幕スーパーには「まだ王者じゃない」の文字が…。これからまた超えて行かなければいけないものがある。2連覇はあくまで通過点、自分たちは生涯挑戦者。次なる頂きをめざして。来年の箱根駅伝が今から愉しみでならない。
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